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【終了しました】「知の拠点あいち重点研究プロジェクトⅣ期」 キャベツの生育管理を支援する自動施肥制御機を開発しました ~軽労化のための開発技術を実演します!~

開催日:2024年12月11日~2024年12月13日

 愛知県と公益財団法人科学技術交流財団(豊田市)では、産学行政連携の研究開発プロジェクト「知の拠点あいち重点研究プロジェクト※1Ⅳ期」を2022年度から実施しています。このうち「プロジェクトDX※2」の「愛知農業を維持継続するための農作業軽労化汎用機械の開発と普及※3」では、愛知県の主要作物であるキャベツの収穫時の労働を軽減するため、ロボティクスなどの先端技術を利用したスマート農業※4 の実現を目指しています。

 この度、栽培中のキャベツの生育把握と施肥制御を一体的に実施する「自動施肥制御機」を開発しました。12月11日(水)、12月13日(金)の2日間、農業総合試験場東三河農業研究所において、農業関係者を対象とした農場実演を、報道機関向けに公開します。自動施肥制御機を搭載した農業機器による生育管理を実演し、その効果について御説明します。

 また同技術に加え、本プロジェクトで開発された、ドローンで撮影した画像からキャベツの生育状況を診断できる「生育把握・アドバイスシステム」、汎用野菜作業台車の半自動化を実現した「収穫支援技術」についても御紹介します。

 キャベツ生産の盛んな東三河地域において実演を行うことにより、農業関係者への認知度を高め、社会実装を目指します。

 1 公開実演

(1)日時

1回目 2024年12月11日(水) 午後1時30分から午後3時まで

(受付時間:午後1時から午後1時30分)

2回目 2024年12月13日(金) 午後1時30分から午後3時まで

(受付時間:午後1時から午後1時30分)

 

※雨天の場合は中止します。当日午前10時に、当ページにおいて、開催又は中止について掲載します。   

(2)会場

農業総合試験場 東三河農業研究所

(豊橋市飯村町高山11-48  電話:0532-61-6235)

※駐車場は数に限りがございます。

豊橋駅前から豊橋鉄道バス「岩田団地線(大池経由)」「岩田団地」下車徒歩10分

豊橋駅前から豊橋鉄道バス「飯村岩崎線」「ひがし循環器クリニック」下車徒歩5分

 (3)対象

報道機関(事前の御連絡は不要です。)

一般の方は御覧いただけません。

 (4)スケジュール

両日とも以下のとおりです。

 

2 開発の概要

 愛知県のキャベツの出荷量は全国1位(2022年)であり、県の主要な農作物の一つです。その生産には、広大な耕作地の生育状況の見回りや管理に加え、「拾いどり」※5により収穫する作業が伴うため、農家にとって重労働であり、生産継続における大きな課題になっています。本プロジェクトでは、キャベツ農家が抱える課題解決のために、3つの技術開発を進めてきました。

 (1)キャベツの生育把握と施肥制御を一体的に実施する「自動施肥制御機」

 愛知県では、「拾いどり」により、出荷基準に達したキャベツを選定しながら収穫しています。「拾いどり」は取引単価が高い利点がありますが、作業が複数回にわたるため労働負荷の一因となっています。

 本技術開発では、「拾いどり」による収穫回数を少なく抑えるために、広大な畑のキャベツの生育を均一化する「自動施肥制御機」を開発しました(図1)。これは、センシングカメラの撮影画像からキャベツの生育を診断し、追肥量を自動で増減できるものです(特許出願中)。自動施肥を行うことで、出荷の中心となるL、2Lサイズの比率を高め、キャベツの均一性を向上できます(図2)。

図1 自動施肥制御システム

図1 自動施肥制御システム

 図2 施肥制御によるキャベツの階級比率

 

(2)汎用野菜作業台車の半自動化を実現した「収穫支援技術」

「拾いどり」によるキャベツの収穫は、図3のような野菜作業台車を利用します。台車の運転操作には作業者が必要であり、家族経営の農家にとっては、労働負荷が増える一因となります。

本技術開発では、収穫作業を効率化するために、汎用野菜作業台車を半自動化する装置を開発しました。装置を付加した野菜作業台車は、ワンボタンで一定時間移動し、運転に要するクラッチ操作を削減することができます。

図3 半自動化された汎用野菜作業台車

 

(3)ドローンで撮影した画像からキャベツの生育状況を診断できる「生育把握・アドバイスシステム」

 圃場作物の生育に合わせた管理を計画するには、広大な畑の状況を把握することが重要です。キャベツの生育のバラツキを把握し、その情報を一元化するために、ドローンで撮影した画像から圃場のキャベツの生育状況(開帳や球形)を計測し、マップに表示したり、データとして記録したりするアプリケーション(図4)を開発しました。点在する農場や広範囲な農場のキャベツの生育を可視化し、記録することで、栽培管理だけでなく営農指導や出荷予測にも利用できます。

図4 生育診断アドバイスシステム

 

3 期待される成果と今後の展開

 キャベツ生産にかかる負荷を軽減することにより、農家の維持継続に貢献し、生産出荷額の維持向上を図ります。開発された装置は、農家に既に導入されている作業車に搭載できるため、導入のためのコスト負担が少なく、早期の普及が期待できます。将来的には、参画企業による装置の製造販売や、農作業請負ビジネスの起業といった、新規事業の創出が期待できます。

4 問合せ先

【プロジェクト全体に関する問合せ先】

あいち産業科学技術総合センター 企画連携部

担当:日渡、佐藤、村上

電話:0561-76-8306

 

【実証試験に関する問合せ先】

公益財団法人科学技術交流財団 知の拠点重点研究プロジェクト統括部

担当:佐野、安藤、金田

メール:juten-dx@astf.or.jp

電話:0561-76-8370 (*原則、メールにてお問合せ下さい。)


【用語説明】

※1 知の拠点あいち重点研究プロジェクト

高付加価値のモノづくりを支援する研究開発拠点「知の拠点あいち」を中核に実施している産学行政の共同研究開発プロジェクト。2011年度から2015年度まで「重点研究プロジェクトⅠ期」、2016年度から2018年度まで「重点研究プロジェクトⅡ期」、2019年度から2021年度まで「重点研究プロジェクトⅢ期」を実施し、2022年8月から「重点研究プロジェクトⅣ期」を実施しています。

「知の拠点あいち重点研究プロジェクトⅣ期」の概要

実施期間

2022年度から2024年度まで

参画機関

16大学 7研究開発機関等 88社(うち中小企業59社)(2024年11月時点)

プロジェクト名

・プロジェクトCore(コア)Industry(インダストリー)

プロジェクトDX(ディーエックス)

・プロジェクトSDGs(エスディジーズ)

 

※2 プロジェクトDX

<第4次産業革命をもたらすデジタル・トランスフォーメーション(DX)の加速に資する技術開発に取組みます。>

分野テーマ・

研究テーマ

【分野】デジタルテクノロジー・ICT

D1 モノづくり現場の試作レス化 /DXを加速するトライボCAE開発

D2 DXと小型工作機械が織り成す機械加工工場の省エネ改革

D3 MIをローカルに活用した生産プロセスのデジタル革新

D4 IT・AI技術を結集したスマートホスピタルの実現

【分野】ロボティクス

D5 繊維産業に於けるAI自動検査システムの構築に関する研究開発

D6 〈弱いロボット〉概念に基づく学習環境のデザインと社会実装

D7 愛知農業を維持継続するための農作業軽労化汎用機械の開発と普及

【分野】自動車・航空宇宙等機械システム(ソフト)

D8 自動運転技術のスマートシティへの応用

D9 自動運転サービスを実現する安全性確保技術の開発と実証

 

※3 愛知農業を維持継続するための農作業軽労化汎用機械の開発と普及

研究リーダー

愛知工業大学 情報科学部 教授 塚田 敏彦 氏

事業化リーダー

株式会社マックシステムズ 吉田 正博氏

個人農家 柴田 隆夫氏

株式会社戸倉トラクター 横井 千広氏

内容

愛知県のキャベツ産出額は200億円弱(2022年)で県の重要な農作物である。その生産には、広大な耕作地の生育状況の見回りや管理、さらに重いキャベツを収穫する作業が伴うため、農家にとって重労働であり、生産継続における大きな課題である。我々は、見回り管理と収穫作業を軽労化するための技術を開発して普及展開に取り組む。

参加機関

〔大学〕

愛知工業大学、名古屋大学

〔研究開発機関等〕

愛知県農業総合試験場、あいち産業科学技術総合センター、公益財団法人科学技術交流財団

〔企業〕

株式会社マックシステムズ、個人農家、株式会社戸倉トラクター、イーブイ愛知株式会社

 

※4 スマート農業

スマート農業とは、ロボット・AI・IoT等の先端技術を活用することで、省力化・精密化や高品質生産等を実現する新たな農業技術のことです。日本の農業の現場では、担い手の高齢化が急速に進みつつあり、労働力不足が深刻となっています。スマート農業が実用化することにより、農作業における省力・軽労化が進むとともに、新規就農者の確保や栽培技術力の継承等が期待される効果となります。

国内では農林水産省が経済界と連携して、GPS自動走行システムを搭載した大型農機などの研究開発、導入実証を推進しています。

参照URL(農林水産省) https://www.maff.go.jp/j/kanbo/smart/

稲作では大型機械の導入が進んでおり、GPSなどを利用した自動収穫などの技術導入が進みつつあります。また、一定の環境が整っているハウス栽培では、収穫支援ロボットや環境センシングなどの技術開発が進みつつあります。一方で、キャベツのように屋外で栽培する露地作物においては、栽培環境が各々の畑で異なることもあり、他作物と比較すると農業機械の導入が遅れています。そのような中で高齢化が進んでおり、新たな技術導入が求められています。

 

※5 拾いどり

出荷基準に達したキャベツを選定しながら収穫する収穫方法です。スーパーマーケットなどの小売店で販売されるキャベツには、サイズや葉の枚数などの規格が存在します。農業者はこの規格を満たすため、農場でキャベツのサイズなどを選別し、出荷基準に達したものから順に手作業で収穫します。このため、1つの農場で複数回にわたり収穫作業を行う必要があり、農家にとって大きな負担になっています。一方、「拾いどり」によって収穫され小売店で販売されるキャベツの単価は、機械等により一斉収穫され加工用に回されるキャベツの2倍ほどと言われており、安易に加工用キャベツへの転換をすすめることは困難です。

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